富士山 新ハザードマップ + 火山史

JAPAN(日本)

 ハザードマップ(危険予測地図) Hazard Mapは、災害種別ごとに作られている防災用の地図。

 土砂災害、洪水、津波、高潮は、ハザードマップポータルサイト(disaportaldata.gsi.go.jp/)で。

火山ハザードマップ

 火山のハザードマップは、結構繁雑。
 以下の個々について影響範囲を描画して、

  •  噴石
  •  火砕流・火砕サージ(火山ガスを多く含んだ熱風)
  •  溶岩流
  •  火山灰(降灰)
  •  土石流
  •  [融]雪泥流
  •  山体崩壊 - 岩屑なだれ

 これらを巧く重ね合わせた地図が一般向け。

 噴石は比較的分かりやすい。火口から数km離れていれば届かない。
  ※ 富士山ハザードマップでは、大規模噴火で大きな噴石の到達距離4km、中・小規模噴火で2km

 火山ガス混じりの火砕流・火砕サージは、高速で斜面を流下するので、避難する余裕がなく危険。山麓において最も警戒が必要。

 溶岩流は液体(マグマ)で粘性が高いので、比較的ゆっくりだが、遠方まで河川を流下し得る。
  ※ 富士山のマグマは粘性低め

 降灰は風向きにもよるが、遠方まで広範に飛んでジワリジワリ悪影響を及ぼす。

 土石流、雪泥流(せつでいりゅう)は、降灰後、降雨・融雪と絡んで二次的に大きな被害を及ぼす。

 数ある火山のハザードマップのうち(個人的に)比較的見る機会が多い富士山のハザードマップが先月末、17年ぶりに改定されたので整理してみた。

富士山火山史

 現在、富士山は噴気が上がっているわけではないので、活火山であること忘れて安心して近づける。
 最後の噴火は江戸時代の宝永噴火で、300年以上静か。火口のある宝永山も(頑張れば)登れる。

 ざっと遡ってみていくと

 宝永噴火 [1707]
  富士山頂の南東(宝永山)から噴火

 噴火 - 剣丸尾溶岩流 ・・・ 現・富士スバルライン
  山頂の北から噴火
  <年代推定>
   937年、1033年、1083年

 貞観噴火 [864-866] - 青木ヶ原溶岩流(現・青木ヶ原樹海)
  山頂の北西(長尾山)から噴火 ・・・ 鳴沢村 ふじてんスノーリゾートの近く。西に大室山

  古代湖「せの海」分断 ⇒ 西が精進湖、東が西湖

 延暦噴火 [800-802] - 檜丸尾・鷹丸尾溶岩流
  山頂の北東から噴火

  山中湖誕生
  足柄道通行止、箱根(東海道)へ迂回

 天応噴火 [781] ・・・ 最古の文献記録 『続日本紀』

 5-7世紀、噴火あり ・・・ 調査から

 約2300年前 富士山山頂から噴火

 縄文時代、噴火を繰り返してうずたかくなり、現在の形に近くなった。

 上記以外も噴火多々あり。

 山頂からの大噴火は約2300年前が最後とされるが、その後も山頂からの噴煙目撃記録あり。

 今は噴火しそうな気配が全然ない。富士山登山鉄道の話まで持ち上がっている。
 一方、専門家は「いつ噴火してもおかしくない」と言う。

 宝永噴火が宝永大地震(東南海地震)の後で、平安時代の貞観年間も大地震が起きているから(こちらは噴火の後で東北地方)、次回噴火する時も大地震の前後か、と考えてしまうが、関東大震災(1923年)の後も東日本大震災(2011年)の後も噴火していないので、結局のところよく分からない。

富士山ハザードマップ改定

 改定前の従来版は2004年に作られたもの。その後、新たに得られた知見を反映させて、より細かくシミュレーション。

 山梨県 富士山ハザードマップ(www.pref.yamanashi.jp/kazan/hazardmap.html)
  ページの一番下が統合マップ。

 静岡県 富士山火山防災対策(www.pref.shizuoka.jp/bousai/fujisanbousai.html)

 下の2つの図は『報告書概要、報告書、報告書説明資料』の『資料1 富士山ハザードマップの改定について(概要)』から引用。分かりやすくまとめられている。

 内閣府 富士山火山防災対策協議会HP(www.bousai.go.jp/kazan/fujisan-kyougikai/)は、まだ従来版。

 富士山の噴火は毎回山頂から噴火するわけではなく、過去2000年は山腹から場所を変えて噴火しているので、次回噴火する時もどこから噴火するか分からない。

 ただ、大規模噴火(噴出量2億m3以上)の恐れのある火口範囲は、
 北西(長尾山) - 富士山頂 - 南東(宝永山)
で、改定前から大きくは変わっていない。

 中・小規模噴火の恐れのある火口範囲が北東へ、南西へ拡がった。

富士山火山防災対策協議会 『富士山ハザードマップの改定について』から

 ※ 対象年代を拡げて(従来は過去3200年、今回は過去5600年)、新たに発見された火口も追加
   2014年、富士山火山地質図改定

 火砕流の到達範囲は、改定前、山頂を中心とした円に近かったが、改定後、より地形が反映されて範囲も北東へ、南西へ延びた。東富士五湖道路の一部が引っ掛かっている。

 また、大規模噴火の溶岩流噴出量の最大想定が宝永噴火の7億m3から貞観噴火の13億m3に変わったため、溶岩流の到達距離が長くなった。
  ※ 以前は宝永噴火が最大で、貞観噴火も同程度とされていたが、その後の研究で貞観噴火は約2倍と判明

 もしも山頂の北~東で大規模噴火が起これば、

  •  桂川(下流は相模川)を大月、上野原、相模湖(相模原市)まで
  •  鮎沢川(下流は酒匂川)を山北、南足柄、開成、松田、大井、小田原まで

 山頂の南~西で大規模噴火が起これば、

  •  富士川河口の静岡市(の清水区)まで
  •  黄瀬川(下流は狩野川)を沼津、清水町まで

溶岩流が到達する、とのこと。

富士山火山防災対策協議会 『富士山ハザードマップの改定について』から

 東寄りの火口から史上最大規模の大噴火が起こった場合、酒匂川まで冷え固まることなく流れてくる---。
 実際に起こる可能性は低いが、降灰 - 土石流ならば宝永噴火で起こっている。

 これまで被害(降灰除く)が及ぶ可能性のある自治体は、

  •  山梨県富士吉田、鳴沢、富士河口湖、山中湖、忍野、西桂、都留、身延(の下部)
  •  静岡県富士宮、御殿場、小山、富士、裾野、長泉、三島

だったが、さらに12市町増えた。


 富士山では先月(3月)末、雪崩発生のニュースもあった。
 土石流っぽいが、雪代(ゆきしろ)と呼ばれている。またの名はスラッシュ雪崩。
 噴火ではないが、いわゆる雪泥流。

ふシゼン
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