毎年6月末から9・10月までの間、水害・土砂災害の要警戒期間。
今年は早くも5月中旬に九州などで大雨。
毎年日本全国どこかしらで甚大な被害が起こって、特に西日本、特に九州で多く起こっている。
昨年(2020年7月)は熊本県人吉などを流れる球磨川の氾濫。
今年は……。
6月29日-7月3日の大雨
6月29-30日 沖縄で大雨。
7月に入って伊豆諸島、静岡、神奈川などで記録的大雨。
『これまでに経験したことのないような大雨』といった特別激しい豪雨ではなかったが、
梅雨前線まわりで長々降り続いて各地で被害が出た。


(積乱雲が次々と生まれて線状に並ぶ)線状降水帯ではないが、南から暖かく湿った空気が流れ込んで、同じ場所で雨が降り続いた。
風もなくありきたりの梅雨の天気に思えたが……。
(夜中強く降ったようだが、熟睡して分からず)。
降水量
6月29日-7月3日の24時間降水量(最大)300mm超は、
6月29日
沖縄 粟国:306.5mm
7月1日
東京 新島:333.5mm
7月2日
東京 新島:331mm
神奈川 箱根:384.5mm
静岡 三倉:304mm
7月3日
神奈川 箱根:543mm
静岡 御殿場:392mm、川根本町:341mm、三倉:340mm、有東木:337.5mm、富士:326.5mm、鍵穴:306mm

6月29日-7月3日の24時間降水量(最大)のプロット →
7月3日までの72時間降水量(最大)は、
神奈川 箱根:805.5mm
静岡 天城山:569mm、御殿場:560mm、三倉:534.5mm、有東木:526mm、富士:512mm、川根本町:508.5mm
水害・土砂災害
氾濫河川、
神奈川 金目川(花水川)水系 河内川 -平塚- area
神奈川 相模川水系 小出川 -寒川- area
静岡 狩野川水系 map
黄瀬川大橋一部崩落
静岡 富士市東部、沼津 map
愛知 豊川 map
静岡県熱海の大規模土石流
7月3日10:30頃、熱海市伊豆山の逢初川沿いで発生。
逢初川 area
川沿いの坂道を結構な勢いで流下。
10m/s(=36km/h)。
発生してから避難しても間に合わない。
長時間(1時間近く)にわたって数波続いたという証言も。
下の図・写真は、
国土地理院 令和3年(2021年)7月1日からの大雨に関する情報
から。

起点から河口まで約2km。河口は伊豆山港

住宅地一帯は土砂災害警戒区域(土石流)に指定されているが、被害を防げなかった。
鉄道(熱海-湯河原)は被害を免れた。橋の下を流下した。
土石流の発生条件は、
- 雨量(降水量)
- 地形(斜面勾配など)
- 堆積物の組成
豪雨による土石流というより長雨による土石流。
石はあまり含まれていない泥流。
一番近い観測所・網代の
24時間降水量(最大)は7月3日の184mm、
7月3日までの72時間降水量(最大)は411.5mm。
熱海は急斜面だらけで、確かに雨量も多いが、
これ程までに大規模な土石流が起こる雨量だったのか、というと結構疑問に思えた。
東向きの斜面で例年雨量が少ない、という説明もあったが、
上流部の谷に盛られていた大量の土が深層からごっそり崩壊しているので、人災の部分も結構あると思う。
流出土砂量約10万m3。うち盛土が5万m3超。
上流部には砂防堰堤もあったが、貯砂量は4200m3。
雨雲がだんだん抜けて小降りになって、前兆もあまりなかったようだから、避難を巡って適切だったか否か、今後の対策うんぬんは相当難しいと思うが、被害を大きくしたという点では開発(地形改変)絡みの特殊な土砂災害かもしれない。
今後、周辺の開発との因果関係などを調査するとのこと。
日本全国、住宅地の上流部に似たようなところがないか再点検が必要。
気象庁観測関連チェック
今年(2021年)に入ってから観測所がいくつか変わっていた。
- 2021年1月 長崎県 野母崎地域気象観測所から脇岬地域気象観測所へ移設 ・・・ 以前(2月)記した
- 2021年1月 奈良県 玉置山地域雨量観測所から葛川地域雨量観測所へ移設
- 2021年3月 京都府 綾部地域雨量観測所から綾部山家地域雨量観測所へ移設
- 2021年3月 長崎県 大瀬戸地域気象観測所から西海地域気象観測所へ移設
- 2021年3月 宮城県 江ノ島地域気象観測所 廃止
- 2021年3月 福島地方気象台 アメダス観測所番号 変更
追)熱海伊豆山に臨時気象観測所開設
2021年3月からアメダス(地域気象観測所)で相対湿度の観測を開始。
『集中豪雨の予測能力の向上に必要な水蒸気監視能力を強化するため』。
一方、日照計による観測を終了。
日照時間は、気象衛星観測の「推計気象分布(日照時間)」から得る推計値に変更。
2021年6月から「顕著な大雨に関する情報」の提供を開始。
いくつかの条件を満たした時に発表されるが、いわゆる線状降水帯が確認された時に発表される。
早速6月29日に沖縄で、7月1日に伊豆諸島で、線状降水帯が確認されて「顕著な大雨に関する情報」発表。
なお、線状降水帯ではない時でも発表されることがある。
※ 線状降水帯由来ではない集中豪雨もある
また、これとは別に「記録的短時間大雨情報」がある。
リアルタイムの危険度は、
キキクル(危険度分布)(www.jma.go.jp/bosai/risk/)。
危険が迫る前に見ておきたいハザードマップは、
ハザードマップポータルサイト(disaportaldata.gsi.go.jp/)。