鉄「史」 -製鋼 その1-

TECH(工科)TIME(歴史)

 前回の続き。

 鉄(アイアン) Ironの中でも鋼(はがね)と呼ばれる鉄すなわち鋼鉄(スチール) Steelは強靭で特別な扱いを受けている。
 一般に炭素含有量1.7%以下の鉄が鋼鉄。

 しかし、単純に炭素分が少ないほど強靭というわけではなく、多いほうが硬くて脆く、少ないほうが軟らかく靭性が高い(しなやか)。
 一般に炭素含有量0.2%以下の鋼が軟鋼で、0.1%以下の鋼が極軟鋼。

 一般に炭素含有量0.1%以下の鉄が錬鉄。極軟鋼と重なるが、かつて炉内の温度が低かった(700-800℃)時代、半溶融状態の鉄を鍛えて作られていたのが錬鉄。

 炉内温度が1200℃(鋳鉄の融点)を超える(今日の)製鉄で作られる銑鉄は炭素含有量3-4%の鋳鉄。
 温度が高くなるほど鉄の炭素吸収が速まり、炭素分が多くなる。
 多い順に鋳鉄 > 鋼鉄(硬鋼 > 軟鋼) > 錬鉄。
 鋳鉄は脆いので鍛造に適さないが、融点が低く鋳造に適している。

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製鋼

 錬鉄に炭素を加えるか ・・・ 加炭
 鋳鉄から炭素を除けば ・・・ 脱炭
 鋼鉄になる。

 日本伝統のタタラ製鉄では

  •  銑(和銑) ・・・ 鋳鉄
  •  鋼(和鋼) ・・・ 鋼鉄

が作られ、和銑から

  •  庖丁鉄 ・・・ ほぼ錬鉄

が作られた。
 これぞ鍛錬。

 最も良質な和鋼は玉鋼(たまはがね)と呼ばれ、日本刀の材料とされる。炭素含有量1.0-1.5%。
  島根県安来市 和鋼博物館   

 戦国時代以降、海外から入ってきた「南蛮鉄」は、坩堝(るつぼ)を用いて作られた鋼とされているが、「るつぼ鋼」は錬鉄から加炭(滲炭)によって鋼鉄としたもの。
  紀元前 南インド ウーツ鋼
   Syria ダマスカス鋼もこれ
  1740年 英国 ベンジャミン・ハンツマンがSweden産棒鉄を使って開発
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 なお、ダマスカス鋼の研究から生まれた「錆びない鋼」がステンレス[鋼]。

 加炭とは逆に銑鉄(鋳鉄)から脱炭で鋼鉄になる過程は高温(加熱)酸化。
 溶融ないし半溶融状態で銑鉄が空気中の酸素と接触して炭素が除去される。

 Fe中のC + 空気中のO2 → CO2
 2C + O2 → 2CO

 せっかく鉄酸化物から還元したのに酸化したら元に戻ってしまいそうだが、酸素は鉄よりも炭素と結びついて除去されていく。

 銑鉄と鉄鉱石を混ぜて加熱すれば、銑鉄中の炭素と鉄鉱石中の酸素が化合して抜けていく。

 なお、鉄は温度によって、また、炭素含有量によって、状態(性質)が変わる。
 これは変態。

 他の脱炭法として、炉に棒を入れて攪拌する方法が紀元前の古代中国で行われていたとされる。
  ※ 漢 炒鋼法

 18世紀、英国で開発されたパドル法(攪拌法)も同じ原理。
  ※ 1783 / 1784年 ヘンリー・コート 反射炉でパドル法開始

 鋼鉄の生産性は少しずつ向上していった。
 しかしながら、19世紀後半まで大量生産できなかった。

 思いのほか長くなってしまったので、もう1回つづく

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