世界の原子力発電所(2021年) プロット

ENERGY
スポンサーリンク

世界の原子力発電所

 2011年の東日本大震災から10年。
 日本の原子力発電所をプロットしていたら、世界の原子力発電所のデータがあった。

 使用したデータは、GeoNuclearData(github.com/cristianst85/GeoNuclearData) 0.17.5(2021年2月)。

 原子炉783基のうちStatus(現状)がOperational(運転中)、Shutdown(停止)のデータのみプロットしてみた。

 1ヶ所の発電所に原子炉が2基3基、最大で8基の所(カナダ ブルース)もあるので、発電所ごとにまとめて「運転中」の原子炉のみCapacity(出力、容量)を合計した。

 「出力」の単位はメガワット MW(電気出力メガワット MWe)。
 1MW=1000kW、1000MW=100万kW。

 「運転中」 186ヶ所(マゼンタ色の円) + 「停止」 89ヶ所(緑色の円) = 計275ヶ所のプロット。

世界の原子力発電所(2021年) プロット   

 「運転中」であっても日本の原子力発電所は、2011年の大震災以降、東日本では[再]稼動していない。[再]稼動しているのは西日本の一部のみ。

 下図は日本とその周域。

 円の半径は10km。いくつか重なっている発電所がある。

 発電所の和名は追加した。ほとんどが地名(一部人名)。馴染みのない地名が多いが、たいていの場合、比較的近い所に大都市圏がある。

 極北のチュクチにもあるが、小型の原子炉。うちロシアの「アカデミック・ロモノソフ」は水上原子力発電所。カムチャッカのビリュチンスクになっていたが、もっと北のペベクに運ばれた、ということなので修正した。

 追)タイワンの第三原発の位置データが違っていたので修正

 追)2022年もプロットしてみた

国別内訳

 GeoNuclearDataのデータの元は、主に世界原子力協会 WNAと国際原子力機関 IAEA。
 WNAのReactor Database(www.world-nuclear.org/information-library/facts-and-figures/reactor-database.aspx)にいろいろ書いてある(英語だけど)。

 「運転中」の原子力発電所 33ヶ国 186ヶ所 443基 約400ギガワット GW。
  ※ 400GW=40万MW=4億kW
 1基あたり1000MW(100万kW)超の大型原子炉から300MW(30万kW)未満の小型原子炉まで様々。

 アメリカ 56ヶ所 94基 91GW(90972MW)
 ダントツ1位だが少し減っている。

 フランス 18ヶ所 56基 61040MW
 こちらも原発大国。

 チャイナ 15ヶ所 50基 47441MW
 まだまだ増える見込み。

 日本 15ヶ所 33基 31682MW
  ※ グロス値は3323万5000kW(33235MW)
 ただし、大震災以降、再稼動した発電所は、高浜、大飯、伊方、玄海、川内の5ヶ所 9基 913万kW(9130MW)。

 ロシア 11ヶ所 38基 28537MW

 インド 7ヶ所 23基 7110MW

 カンコク 6ヶ所 24基 22261MW

 ドイツ 6ヶ所 6基 7597MW
  追)2023年までに全6基運転終了

 イギリス 7ヶ所 15基 9867MW
  ※ 2022年時点で5ヶ所に減っている

 スペイン 5ヶ所 7基 6542MW

 発電所4ヶ所
  ウクライナ 15基 13095MW
  カナダ 19基 13489MW

 発電所3ヶ所
  スウェーデン 6基、スイス 4基

 発電所2ヶ所
  タイワン 4基、パキスタン 5基、ベルギー 7基、フィンランド 4基、チェコ 6基、スロバキア 4基、アルゼンチン 3基

 発電所1ヶ所
  イラン 1基、アルメニア 1基、オランダ 1基、ハンガリー 4基、ルーマニア 2基、ブルガリア 2基、スロベニア 1基、南アフリカ 2基、メキシコ 2基、ブラジル 2基

  近年初稼動
   U.A.E. 1基、ベラルーシ 1基

 かつて稼動していたが現在0
  カザフスタン、イタリア、リトアニア、プエルト・リコ
  追)2023年、ドイツも0

 将来新たに稼動予定
  バングラデシュ、トルコ

 その他
  フィリピン 1980年代に完成したが未稼動
  ベトナム 計画中止

スポンサーリンク

所感

 世界は、
 面積の小さな国と大きな国
 海洋の島国と内陸の国
 エネルギー資源の少ない国と多い国
 災害の多い国と比較的少ない国
 まあまあ民主的な国と独裁的な国
 大事故を起こした国と起こしていない国
と様々。

 いたずらに比較するのも良くないが、環太平洋の地震多発地帯で、原発のある国は日本、タイワン、アメリカ。
 アメリカ西海岸は1ヶ所運転中だが(ディアブロ・キャニオン)、2025年までに停止予定。
 タイワンも2025年までに全廃予定。
  追)のち「2025年」の期限明記はやめている。
 日本は……。

 近頃よく耳にする「脱炭素」。あまりいい言葉じゃない。
 人口が多いチャイナ、インドでは今後も原発が増えていくようだ。

 「脱炭素」で原発だらけになるのか---。

 チャイナも大地震の頻度が多くないだけで、全く起こらないわけではない。
 もしもチャイナや朝鮮半島で大事故が起これば日本にも影響が及ぶ。

 原子炉をより安全性の高いものへ更新していくという道もある。
 今後、世界では新しいタイプの小型原子炉(小型モジュラー原子炉 SMR)が増えていく見込み。

 だが、日本ではもはや「原子力はクリーン」ではないし、なかなか理解は得られないだろう。

スポンサーリンク
ふシゼン
タイトルとURLをコピーしました