お米の価格が下がらない(令和の米騒動)

ECO

 そろそろ下がるだろう - 下がらない
 そろそろ…… 下がらない
 今年も猛暑か---

 令和の米騒動ここまでまとめ。

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令和の米騒動

 昨年(2024年)夏に入ってから(7月)、お店にお米が入荷されない日が出始めて、まもなくお米の価格上昇が始まった。
 8月に日向灘の地震で地震臨時情報が出て買いだめの動きも重なったが、これは一過性で、その前から異変が起きていた。

 問題は秋以降もずっと価格高止まり状態が続いていること。
 新米だから高い、というわけでもなく、
 米の在庫が不足しているというわけでもないらしい。農林水産省いわく備蓄米は十分ある、逼迫していないと繰り返す。
 前年(2023年)の米の一部が猛暑(高温)の影響受けて、2024年も猛暑が予想されて(猛暑だった)、早めに良い米を確保しようとする動きが価格上昇につながったらしい。
  過去の米価格高騰2回 - 2003年、1993年(平成の米騒動)は冷夏の影響。1993年はよく覚えている。

 今年(2025年)に入って農林水産省が備蓄米放出に方針転換表明してから(2024年中は放出しなかった)、価格は逆に上がり続けた。あたかも方針転換に反発するかのごとく。
 4月もそろそろ終わるが、高止まり状態続く。5kg4300円超。

 小売物価統計調査による価格推移HP - お米5kg(www.jpmarket-conditions.com/1002/)

小売物価統計調査による価格推移HPから

 元データ:総務省 小売物価統計調査(www.stat.go.jp/data/kouri/index.html)

 何の文脈もなしに「今までが安かった」と言われると不快に思うかもしれないが、2024年夏までは確かに多くの食品が値上げされる中お米の価格は消費者にとって求めやすかった。5kg2000円内でいくつか選べた。5kg3500円で上級魚沼産こしひかりが買えた。

 いずれお米も値上がりするのではないかと思っていたので、最初のうちはとうとう上がってしまったか、と驚きではなかったが、倍以上に上がるとは思わなかった。今やカリフォルニア産Calrose(カルローズ)が5kg3800円超。3000円くらいの国産米があると思ったら5kgではなく4kg。

 上昇し始めの頃、5kg3000円-3500円ならばちょうど良いくらいに思っていた農林水産関係者が多かったのではないか。
 お店の棚に並んでいる国産米の最低価格は一時どれもこれもみな同じで(3100円くらい)、下げられないという以上にこれ以上下げたくない意思めいたものを感じた。
 備蓄米はあると言いながらなかなか放出されなかった。
 農林水産大臣は備蓄米食べて「うまい」とアピール。?
 価格を下げようという意思が感じられないし、長年のお米政策が(価格が下がりすぎないよう)生産抑制なので、価格上昇に対しては動きが鈍い。生産者(農家)を守るため……でも生産者は自由にお米を作れない。
  減反(げんたん)政策(1970年-2018年)廃止後も低い生産目標と水田の転作支援で抑制。

詳しい解説は
・ 三菱総合研究所 MRI … 『令和の米騒動』(mri.co.jp/knowledge/column/20250311.html)
・ キヤノングローバル戦略研究所 CIGS … 『令和コメ騒動の農水省にとって不都合な真実』(cigs.canon/article/20250327_8744.html)
など

MRI 『農林水産省の発表と違い、絶対的にコメの供給が足りていた、とする状況ではなかった可能性が否定できない』
CIGS 『真実はコメが不足しているので米価が上昇している』

 生産者(農家) ⇒ 集出荷業者 ⇒ 卸売業者 ⇒ 小売店舗、外食店舗 ⇒ 消費者

  生産量の半分弱が集出荷業者経由。
  集出荷業者や卸売業者を通さずに店舗、消費者へ届くお米もある。
  集出荷業者の大半が農協(農業協同組合) JA。かつてはみなJA通していた。

  集出荷業者と卸売業者等の間の取引価格(円/60kg)は、
  農林水産省HP - 政策情報 - 農業生産 - 米(稲)・麦・大豆 - 米の需給等に関する情報 - 米の相対あいたい取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等(www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/aitaikakaku.html)

 堂島取引所 毎月現物コメ指数公表
  ・ 農林水産省が毎月公表する「米の相対取引価格・数量」
  ・ 米穀機構(www.komenet.jp/)が毎月公表する「米取引関係者の判断に関する調査(DI調査)」
 から算出

  2024年8月からコメ先物取引(堂島コメ平均)開始。
   ※ 2011年から2023年まで試験上場、2024年8月から本上場

 農林水産省は、JAを通さない流通が増えて、その一部が売り惜しみしている(流通の目詰まり)と説明していた。
 一方、備蓄米をJAに放出してもその分JAが売るのを控えるので供給量は増えない、という論説も見かけた。

 半年以上もたもたしているうちにアメリカが米輸入拡大要求してきた。
 このまま高止まりが続くと国産米へのこだわりは薄れていく。外国産米もつられて高くなっているので“本当に”お米離れが進むかもしれない。
 食料品はじめ生活必需品の値上がりとともに消費税も上がっていく。裕福でない人はお金を搾り取られている状態。搾取(さくしゅ)。
 生産者(農家)も消費者も困るが、なぜか困らない人もいる。なぜか。

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