はやぶさ2 小惑星リュウグウの石 分析・カタログ

SPACE(宇宙)

 最近の日本の宇宙関連の暗くないニュースは新しい宇宙飛行士の誕生。2009年以来14年ぶり。2名。超狭き門。
 ロケットは残念ながら失敗続きだが、次、H2Aでどうなるか。
 H3自体は初号機・試験機なので、うまくいかないこともある。
 山あり谷あり谷あり山あり……。

スポンサーリンク

リュウグウの石 分析

 うまくいったはやぶさ2ミッションのその後、まとめ。

 2020年12月、小惑星リュウグウの砂 お持ち帰り。

 早いもので2年以上経った。

 0.1g(=100mg)の砂が採取できれば十分とのことだったが、石が採取できた。
 採取試料約5.4g。

 2021年6月から分析開始。
 初期分析は6チーム。試料の6%(重量比)。

  •  化学分析チーム
     平均的な化学組成と元素の同位体組成を分析
  •  石の物質分析チーム
  •  砂の物質分析チーム
  •  揮発性成分分析チーム
  •  固体有機物分析チーム
  •  可溶性有機物分析チーム

 2021年11月、NASAへ分配。試料の10%。

 Phase2キュレーション機関

  •  三朝 ・・・ 岡山大学 惑星物質研究所
  •  高知 ・・・ JAMSTEC 高知コア研究所

 キュレーション Curatonは、収集した情報の整理、カタログづくり。

 2022年1月、サンプルカタログ一般公開。

 残りの試料は国際公募など。
 60%は将来への保管。

 2022年6月でJAXA はやぶさ2ミッションは終了。はやぶさ2拡張ミッションに移行。ターゲットは高速自転小惑星 1998 KY26。遠心力 > 重力の星。2031年到着予定。

あらすじ

 小惑星からのサンプル・リターンは、はやぶさ-イトカワが初。はやぶさ2-リュウグウがより本格的な調査・分析。

 リュウグウは炭素質のC型小惑星。
 水や有機物が含まれている可能性が高い小惑星で、最も始原的(太陽系誕生後形成初期)とされていたが、
 持ち帰った試料の分析からも確かめられた。

 始原的な隕石・コンドライトの中で最も始原的とされるCIコンドライト(イブナ型)と組成、同位体比がよく似ていることを確認。
 一方、リュウグウのほうがCIコンドライト[隕石]よりも密度が小さく、暗いという違いも明らかになった。
 リュウグウのほうがどの隕石よりも始原的で、今後、太陽系形成初期の標準試料として活用される。

 (小惑星について)

 太陽系誕生、地球誕生が約46億年前。
 その後、「まもなく」リュウグウの母天体(微惑星)も誕生。
 その数億年後、[地球]生命誕生。約40億~約38億年前。

 水(海)や生命の元となる有機物(アミノ酸、核酸など)が、いかにして生成されたのか、
 かつては地球上での生成メインに諸説唱えられていたが、
 隕石の分析や宇宙の観測が進むにつれて、
 太陽系形成初期、太陽-地球の外側遠方に存在していた水(氷)や有機物が、彗星・隕石によって地球に運ばれてきたという見方が有力になってきた。
  ※ (今のところ)生命ではなく生命の元。生命進化ではなく生命誕生前の分子進化

 リュウグウの母天体は氷、有機物、鉱物からなる天体。
 太陽系誕生数百万年後、水質変成(氷が融けて水と鉱物が化学反応)。
 その後、現在のリュウグウが形成された。
 『リュウグウ母天体は木星軌道より外側で生まれた可能性……その後、小惑星帯にもたらされたことが示唆される』。
  ※ JAXAのHP 2022年6月29日 「はやぶさ2」記者説明会 理学の成果:地上分析

 この水質変成した鉱物(二次鉱物)がリュウグウの主成分。[含水]層状珪酸塩。月や小惑星イトカワではみられない。
 脱水して隕石よりも密度小。
 『CIコンドライトに含まれている水分の約半分は地球上の水蒸気の汚染の結果なのかもしれません』
  ※ JAXAのHP 2022年6月10日 ~「Science」論文について 『リュウグウはイヴナ型炭素質隕石について』参照

 リュウグウの有機物の大半は「黒い固体有機物」。リュウグウの暗さ(黒さ)はこの物質に由来するらしい。

 有機分子は約2万種検出。
 アミノ酸は20種以上検出。左手型と右手型の比率はみなほぼ1:1。
  ※ 地球上の生物のアミノ酸はみな左手型

 などなど。

 全チームの分析が出揃って、今後、全体の総括を説明する、とのこと。

 追)・ JAXA 3月20日に総括の記者会見 
   ・ 北海道大学、九州大学、JAMSTECなど   → 北海道大学 『小惑星リュウグウに核酸塩基とビタミンが存在!~生命誕生前の分子進化と生命の起源解明に期待~』(www.hokudai.ac.jp/news/2023/03/post-1197.html)、
     リュウグウの粒子から核酸 RNAを構成する塩基 ウラシル Uを検出
      ※ 過去、隕石からは他の塩基も検出済み(2022年4月)
     ナイアシン(ビタミンB3)も検出

スポンサーリンク

リュウグウの石 サンプルカタログ

 2021年12月からリュウグウ試料サンプル一般公開。
 その皮切り、東京お台場・青海の日本科学未来館で覗いて見たリュウグウの石。

 『第2回タッチダウンで採取されたリュウグウの“かけら”』
 実物。黒い石。
 サンプルID:C0124
 もう1つはA0116

2022年1月に公開されたサンプルカタログ(データベース)
Ryugu Sample Database System(darts.isas.jaxa.jp/curation/hayabusa2/

 採取試料(約5.4g)の大半は、サンプルキャッチャー(収容容器)A室(3.2g)とC室(2.0g)によるもの。
 Aが1回目タッチダウン時採取(リュウグウ表面物質)、Cが2回目タッチダウン時採取(リュウグウ地下物質)。

 カタログのSearch constraintsのnameに
 例えば、C012と入力後、Search resultsで
 C0120-C0129のデータ、写真が見られる。

スポンサーリンク
ふシゼン
タイトルとURLをコピーしました