2023年ノーベル賞週間

NATURE(自然)

 今年(2023年)は9月も暑かった。
 10月に入ってようやく秋到来。1年で最も頭が冴える季節……
でしょうか。

 2023年のノーベル賞受賞テーマは、
 生理学・医学 --- mRNAワクチン
 物理学 --- アト秒パルス・レーザー
 化学 --- 量子ドット

 2022年は古代DNA、量子もつれなど。

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物理

 アト aは、10-18 = 100京分の1、
 アト秒 as = 100京分の1秒。
 20世紀末に手に取った『先端光技術 / アグネ承風社』という本は、
 主にピコ秒 ps、フェムト秒 fsまでなので、技術の進展著しい。

マイクロμ10-6100万分の1
ナノn10-910億分の1
ピコp10-121兆分の1
フェムトf10-151000兆分の1

 可視光線の波長が約400nm-約700nm。
 X線、γ線(ガンマ線)の波長になるとpm単位に突入。
 ナノ、ピコまでは見かけるが、
 フェムト、アトはなかなか見かけないので一般には馴染みが薄いと思われる。

 共振器でレーザー・パルス生成。

 ピョコンと山1つだけのパルスだと波長とは呼べないが、半波長相当の幅の極短いパルス、
 ピコ秒パルス、フェムト秒パルス、アト秒パルス、
 これらが生成されるようになって、
 超高速で動くモノを捉えることができるようになった。
 カメラのシャッター速度が速いほど高速で動くモノを詳細に捉えられるのとほぼ同じ。
 通常我々の目に見えるモノを捉えるのにピコ秒単位は必要とされないが、
 フェムト秒単位になると分子や原子の動きを観察できる。
  ※ 1999年、ズベール氏が化学賞受賞
 アト秒単位になると電子など素粒子の動きまで観察できる。

 今回受賞者のアゴスティーニ氏、クラウス氏、リュイリエ氏は、21世紀に入って、各々独自にアト秒単位の光パルスを生成することに成功した。

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化学

 今年は化学賞で量子(光子、電子などの素粒子)。ビットではなくドット。
 量子ナノ構造という固体物理の分野でもあるので、物理賞でもおかしくないが、
 受賞者のエキモフ氏、ブラス氏は、1980年代、化学合成による量子ドット開発の道を拓いた。
  ※ コロイド溶液などを利用
 なので化学賞。
 1990年代、バウェンディ氏が、高品質の量子ドット合成法を開発。
 制御して発光色を変えられる。液晶ディスプレー(量子ドット方式)に応用。

 物理的アプローチは、ダイオード、トランジスタ~半導体レーザーなど半導体デバイスの研究・開発において発展。
 1970年代以降、量子をナノメートル nmレベルに閉じ込めて制御することが可能になった。
  ※ 量子は粒子の性質と波の性質を持ち合わせていて、「壁」をすり抜ける(トンネル効果)

 2次元に閉じ込めたもの(1方向閉じ込めたもの)が量子井戸 QW Quantum Well ・・・ 超薄膜。
 1次元(2方向閉じ込め)が量子細線 QWR Quantum Wire。
 0次元(3方向閉じ込め)が量子ドット QD Quantum Dot = 量子箱 ・・・ 半導体「結晶」。

 先述の『先端光技術』の本や
 『量子ナノ構造  /  榊裕之』
など参考。
 こちらで使われている半導体は、ヒ化ガリウム(ガリウム砒素) GaAsなど。
 GaAsはシリコン Siよりも電子移動度が高い(高速)。

 レーザーに応用。日本人研究者の貢献度が高い分野。

生理学・医学

 mRNAワクチン開発の基礎を作ったカリコ氏、ワイスマン氏が受賞。
 [新型]コロナウイルス感染症 COVID-19で初めて実用化された遺伝子ワクチン。
 カリコ氏はファイザー社と共同開発のビオンテック社の方。
 ちなみにコロナウイルスの大きさは約100ナノメートル nm。

 2020年にワクチンについてまとめた。2020年12月から実用化。

 mRNAを体内に入れると免疫が異物と誤認して排除しようと反応、炎症を引き起こしてしまう問題を解決した、
 具体的にはmRNAの一部のウリジンをシュードウリジンに置き換えると炎症が抑えられることを発見、
という説明。

 ワクチンの相対危険0は現実的ではないので、接種しようかどうしようか迷った人も多かったと思う。
 私は……
 まあ、いいか。

 カリコ氏、ワイスマン氏は、2022年日本国際賞受賞者。
 昨年ノーベル賞受賞者のペーボ氏も2020年日本国際賞受賞。
 日本国際賞 Japan Prize(www.japanprize.jp)は、毎年1月、科学技術の2分野で選定。
 今年(2023年)、半導体レーザー分野で日本人研究者も受賞している(中沢氏、萩本氏)。

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ふシゼン
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