気体の状態方程式 -体積 V、圧力 P、温度 T-

 化学反応には熱の出入りも伴うので、その反応熱を化学反応式に加えるとより完全な化学反応式になる。熱化学方程式。

 同じ物質でも
 固体 ⇔ 液体 ⇔ 気体
と状態が変化する。
 固体 + 熱 ⇔ 液体
 液体 + 熱 ⇔ 気体
 例えばH2Oの場合、水蒸気(気体)が水(液体)に変化する時、熱を放出する。

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気体の状態方程式

 気体(ガス)は目に見えないことが多く、液体や固体に比べるとつかみどころない感じだが、
 体積 V、圧力 P、温度 Tの間に比較的簡潔な状態方程式が成立する。

 理想気体(十分に密度が小さい気体)の場合、
 PV = nRT
  n:物質量 [mol(モル)]
  R:気体定数

 まず、ボイルの法則。
  ボイル Boyle ・・・ イギリス
  17世紀、法則発見
 温度一定の下、質量一定の気体の体積は圧力に反比例。
  T=一定で、V = k/P
  PV = P’V’ = k(一定)

 例えば、圧力が3倍になれば体積は1/3になる。

 シャルルの法則はボイルの法則より100年以上後。
  シャルル Charles ・・・ フランス
  18世紀、法則発見
  未公表だったようで、同じくフランスのゲイ・リュサック(ゲーリュサック)が1802年公表
  シャルルもゲイ・リュサックも自ら気球に乗って宙高く舞い上がった

 シャルルの法則は、
 圧力一定の下、質量一定の気体の体積は温度に比例。
  P=一定で、V = k’T
  V/T = V’/T’ = k’(一定)

 例えば、温度が3倍になれば体積も3倍になる。
 温度が下がれば体積も小さくなるが、T=0にはならない。
 ならないけれどもT=0のときV=0。絶対零度。
 0[K] = -273.15[℃]
 絶対温度の単位がK(ケルビン)。
 0[℃]でも計算できる。
 0[℃] = 273.15[K]。T=273.15。
 ℃に273.15プラスすればよい。
 27[℃] = 300.15[K]

 シャルルの法則の別の説明は、
 理想気体の0℃の体積をV0としたとき、1℃上昇するごとに一定の割合で体積が増加する。
  一定の割合:(1/273.15)V0ずつ

 t℃上昇で
 V = V0 + (t/273.15)V0
 273.15 = T0、T = T0 + tとすると
 V = V0(T/T0)
 V/T = V0/T0

ボイル-シャルルの法則(状態方程式)

 T=一定で、(V、P、T) → (V’、P’、T’)
 PV = P’V’ ・・・ ボイルの法則
 P’=一定で、(V’、P’、T’) → (V”、P”、T”)
 V’/T’ = V”/T” ・・・ シャルルの法則

 PV = P”V’ ・・・ P’=一定=P”
 V’/T = V”/T” ・・・ T=一定=T’

 PV/T = P”V”/T”
 ボイル-シャルルの法則
 PV/T = P”V”/T” = k”(一定)
 PV = k”T

 ゲイ・リュサックは気体反応の法則で知られる。
 シャルルの法則(ゲイ・リュサックの法則)の後、公表。
 反応する気体および生成する気体の体積は、同圧・同温の下、簡単な整数比が成り立つ。
 例えば、2H2 + O2 → 2H2O
の場合、
 水素の体積 2:酸素の体積 1:水蒸気の体積 2。

 ただし、当時は水素も酸素も原子と考えられていたので、
 2H + Oだと2H2OにならずにH2Oになってしまう。

 気体は分子から成ると考えたアボガドロさん。

 (前回も登場した)アボガドロの法則
  同圧、同温、同体積の気体は同数の分子を含む。
  気体の種類によらない。
 標準状態(0[℃]、1[気圧、atm]=1013[hPa])の下では、
 22.4[l(リットル)]で6.022×1023個の分子を含む。
 これが1[mol]。

 PV = k”TのP、V、Tに標準状態の値を代入。
 k” = 1[atm]・22.4[l]/273.15[K] = 0.082。
 気体定数 R。

 2[mol]で22.4×2、k” = 2R
 n[mol]で22.4×n、k” = nR

 PV = nRT

 気体定数 R=8.31は、N(ニュートン)とm(メートル)の単位に合わせた値。
 k” = 101300[Pa]・22.4[l]/273.15[K]
  1[Pa]= 1[N/m2
  1[l]= 10-3[m3
  1[J(ジュール)]= 1[N・m]

 気体定数 R(=8.31) / アボガドロ定数 NA(=6.022×1023
 = ボルツマン定数 1.38×10-23
 粒子1個あたりの気体定数。

 1[mol]の水蒸気(気体)の体積は22.4[l]。
 常温(25[℃] = 298.15[K])だと24.45[l]。
  ・・・ シャルルの法則 V = V0(T/T0) = 22.4(298.15/273.15)
 100[℃] = 373.15[K]だと30.6[l]。
  ・・・ 22.4(373.15/273.15)
 水(液体)は1[mol]で18[g]。
 水の密度は1[g/ml]なので体積は18[ml]。
 0[℃]、25[℃]、100[℃]のとき、それぞれ
 体積は1244倍、1358倍、1700倍(=30600/18)。

 十分に密度が小さい希薄な気体(理想気体)では、気体分子の大きさを無視できる。気体の種類によらない。分子間の相互作用も無視できる。
 PV = nRTは、理想気体の状態方程式で、実在気体は近似的に当てはまる。
 実在気体の状態方程式もある。

理数
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